私たちの想い

花処おのくぼは、南信州の山間部にある一軒の花農家が営んでいます。

この地域は昔から草花や花木の生産が盛んな土地柄で、全国有数の晴天率と標高差を活かした多品種生産で有名な産地です。

おのくぼは標高約850メートルの山の上にあり、季節に応じた様々な切り花を生産し、全国の主要な市場へ出荷しています。

おのくぼ周辺の風景

 

◆野趣あふれる草花たち

標高が高いおのくぼの畑は昼夜の寒暖差が非常に大きく、特に春と秋は1日の気温差が20度を超える日もあります。春の訪れは温暖な平野部よりも遅く、逆に秋は早く訪れ、冬になると最低気温はマイナス10度を下回る過酷な環境となります。

こうした気候の特性を踏まえ、草花は耐寒性のある宿根草を中心に、葉もの、実もの、花木など従来から行ってきた多品種生産の強みを生かし幅広いジャンルを露地で栽培しています。

露地栽培で育つ草花たちは、太陽の日差しをたっぷり浴び、山を吹き抜ける強風に耐え、冬場の寒さにも負けません。そしてある日、力強く花を咲かせるのです。ぜひ、そんな花を手にとって、そのたくましい生命力を感じてみてください。

畑の様子


新たな挑戦

私たちは普段花を市場へ出荷しているので、自ら育てた花が最終的に誰の手に渡ったのかは分かりません。でも、消費者に直接花を届けることができれば、それを知ることができます。

自ら育てた花を、どんな人が、どんな想いで、どんな風に使ってくれたのか。私たちが一番知りたいのはそこです。

そして、次はどんな花を作ろうか、どんな色がいいか、そんなことを考えながら次の花づくりに生かしていきたい。その繰り返しこそが大事だと思うのです。

だから、私たちの育てた花を必要としてくれる人に直接花を届けるため、自分たちで花屋を始めることにしました。


◆私たちが考える花屋

・花を選ぶという個性
街の花屋さんの花はとてもきれいですよね。ゴージャスで洗練された主役級の花々。だけど、みんなどこか似ている感じがしませんか。
だから私たちは「こんな花もあるんですよーっ!」と世界の中心で叫びたい気持ちになります。

私たちが育てている花々はちょっと地味で、あまり街の花屋さんには並びません。どちらかというと脇役に使われます。でも、脇役ってとっても奥が深いんです。それだけで集まると独特な花束にもなるし、脇役に回ると、いえ、むしろ脇役が変わると花束の印象はガラッと変わります。

その組み合わせは実に無限。100人の人が100通り、組み合わせが違えば、世界に一つだけの花束ができるのです。
それが、それぞれのお客様の個性という色になるのです。なんだかワクワクしませんか?
是非、実感してみてください。

・花農家にできること
今まで私たちは、市場が定めた「規格」に従って切り花を出荷してきましたが、これまでどおりの「規格モノ」だけを販売することには、とても違和感がありました。何か違うな・・・と。

そして、ある考えが浮かびました。
「花の移ろい」を好きな時に切り取って花材として提供できないかと。
ここでいう”移ろい”とは、花の生涯のことです。

植物は成長の段階でその姿形がどんどん変化していきます。若葉の時期、蕾の時期、花の時期、種の時期、枝だけの時期、それぞれの時期で姿形が全く異なります。そして、それらはとても素晴らしい花材だと思うのです。

そうした花材を商品としてお客様に提供し、自由に花を活けてもらい、もっと花の楽しみ方を広げてもらいたい。
私たちのそんな想いをかたちにしたのが、この”花処おのくぼ”なのです